白衣を着た若手の医師たち

美容外科医になるには?臨床研修後の3つの道と専門医2学会の違い

美容外科医を目指したいけれど、何から始めればよいのか迷っている方も多いと思います。

美容外科医になるのに、医師免許と臨床研修のほかに必須の資格はありません。
その先の進み方は、大きく分けて3つあります。

研修のあとすぐ美容へ進む道、他科から転科する道、形成外科専門医を経てから進む道です。
どの道を選ぶかで、目指せる専門医と、そこまでの年数が変わります。

この記事の結論

  • 医師免許と2年以上の臨床研修のほかに、必須の資格はありません
  • 道は「研修後すぐ美容へ」「他科から転科」「形成外科専門医を経る」の3つです
  • 美容外科の専門医は、同じ名前の2つの学会、JSAPSとJSASが別々に認定しています
  • JSAPSは形成外科専門医が前提で、形成外科の専門研修を終えてから3年が要件です
  • JSASは、臨床研修のあと学会の研修施設で5年以上、美容外科の診療をすることが要件です

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もとにした資料:法律の条文と、学会・日本専門医機構の規則は、2026年10月時点で原典を確認しています。求人は、美STARに掲載中の美容クリニックの医師求人(2026年10月時点)です

美容外科医になるには、医師免許と臨床研修のあとに3つの道がある

医師として診療するには、医師免許を取ったあと、2年以上の臨床研修を受けることが法律で決まっています。

その先の専門医は、美容外科医として働くうえで必須ではありません。
美容外科の学会のひとつであるJSAPSも、医師免許があればどの診療科でも仕事ができると説明しています。

出典:e-Gov法令検索「医師法」16条の2、JSAPS「専門医制度について」

医学生・中高生の方へ、ここまでの道のり

医学部は6年制です。
卒業して医師国家試験に合格すると、医師免許を取得できます。

そのあと、2年以上の臨床研修を受けます。
高校を卒業してから、最短で8年かかる計算です。

美容外科へ進む道は、臨床研修を終えたところで分かれます。

医学部の修業年限は、学校教育法87条で定められています

3つの道の比較

3つの道を、美容の現場に入る時期と、目指せる専門医で比べます。

道 美容の現場に入る時期 目指せる専門医と、申請までの目安 先に確かめること
①臨床研修後すぐ美容クリニックへ 卒後3年目から JSAS。研修施設で5年以上の診療が必要です。足し上げると、申請できるのは卒後7年目を終えてから 一人で施術するまでの期間と、指導体制
②他科で専門研修を受けてから転科 基本領域の専門研修3〜5年の後 JSAS。転科後に研修施設で5年以上の診療が必要です。足し上げると、申請できるのは卒後10〜12年目を終えてから 前の科の専門医の更新をどうするか
③形成外科専門医を経て美容へ 形成外科の専門研修4年の後 JSAPS。形成外科の専門研修を終えてから3年です。足し上げると、申請できるのは卒後9年目を終えてから
JSAS。研修施設での美容外科の診療が通算2年以上で申請できます。別に、JSASの正会員を5年以上続けていることが必要です
JSAPSは形成外科専門医が前提です。JSAPSの正会員には、日本形成外科学会の正会員資格が要ります。研修プログラムに入らない医師向けの申請区分もあります

※申請までの年数は、要件の年数を足し上げた目安で、学会が示した年数ではありません。JSASの規則の了解事項には「5年には他科のローテイト期間も含める」とあり、算入の範囲は学会に確認してください。日本形成外科学会の、研修プログラムに入らない医師向けの申請区分は「正会員B・C」です。
出典:日本形成外科学会「専門医になるには」「入会案内」、JSAPS「専門医制度規則」、JSAS「専門医制度」、日本専門医機構「一般の皆様へ」(2026年10月時点で確認)

美容外科の専門医は同じ名前の2学会、JSAPSとJSASにある

「日本美容外科学会」という名前の団体は、2つあります。
略称のJSAPSとJSASで区別されています。

2つの学会では、専門医の要件が違います。
主な違いを表にまとめました。

専門医の要件を比べる

項目 JSAPS JSAS
前提の資格 形成外科専門医 不要
入会 医師免許と日本形成外科学会の正会員資格、推薦者2名 医師免許と、会員2名以上の推薦
会員年数 連続3年以上の正会員 申請時に5年以上続けて正会員。日本先進医療医師会の正会員も必要
臨床の年数 4年間の形成外科専門医研修を終えてから3年 臨床研修のあと、研修施設で5年以上。研修施設は、JSAS専門医が1名以上常勤する施設。形成外科専門医は、研修施設で通算2年以上
症例 所定の経験症例 術者として12例の症例報告と、所属長の承認
点数 3年以内に16点以上 60点以上と、学術集会への2回以上の参加
試験 筆記試験と書類審査、年1回 筆記試験と口頭試問、年1回
更新 有効期間5年 5年ごと

根拠の条文:JSAPSは専門医制度規則の第3条・第9条・第10条。JSASは専門医制度規則の第5条・第6条・第8条と、細則第2条。JSASの入会要件は入会案内によります。
出典:JSAPS「学会概要」「入会案内」「専門医制度規則」、JSAS「入会案内」「専門医制度」(2026年10月時点で確認)

日本専門医機構の制度と、広告できる資格名

日本専門医機構の専門医制度は、2018年に始まりました。
19の基本領域に形成外科はありますが、美容外科はありません。

その先のサブスペシャルティ領域にも、美容外科と美容皮膚科はありません。

厚生労働省は、広告できる専門医の資格名を一覧で示しています。
令和5年2月時点の一覧に、形成外科専門医は入っています。

一方で、JSAPSとJSASの美容外科専門医は入っていません。

日本形成外科学会の正会員資格がない医師も、JSAPSに「関連会員」として入会できます。
ただし、JSAPSの専門医になれるのは正会員です。

出典:日本専門医機構「一般の皆様へ」、厚生労働省「広告が可能となった専門性に関する資格名」(令和5年2月17日)、JSAPS「専門医制度規則」第2条

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研修後すぐ美容へ進む「直美」と、国の検討会で挙がった論点

臨床研修を終えてすぐ美容医療へ進むことは、いわゆる「直美」と呼ばれています。
ただ、この言葉は国の報告書や調査の資料には出てきません。

厚生労働省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」は、2024年11月に報告書をまとめました。

報告書には、研修を終えたばかりの若手の医師が美容医療へ流れている、という指摘が記録されています。
この点は検討会では議論せず、厚生労働省が別に検討していくとされました。

専門医の取得が、美容医療の医師のキャリアの前提になっていない、という指摘も記されています。

検討会には、医療機関に聞いた実態調査も出されています。
主な数字は次のとおりです。

  • 臨床研修を終えたばかりの医師を採用した医療機関は、2024年度で7.4%でした。2020年度は5.8%、2023年度は9.8%です。
  • 注入や糸など、切開を伴わない施術では、25.1%の医療機関で、一人で施術するまでの経験が平均半年未満でした。
  • 全身麻酔や静脈鎮静を伴う施術では、半年未満が7.4%、1年未満が17.3%でした。

これは調査に答えた医療機関の数字で、美容医療を行う医療機関全体の数字ではありません。

一人で施術するまでの期間は、クリニックによって違います。
この道を選ぶなら、指導体制が整ったクリニックを選ぶことが大切です。

報告書の記載は15ページと4ページ。実態調査は417の医療機関の回答で、採用の割合は各年度4月に入職した医師についての数字です。
出典:厚生労働省「美容医療の適切な実施に関する検討会 報告書」(令和6年11月22日)、同検討会 第3回 資料2「医療の質の向上に関する問題について」(2024年10月18日)

他科から転科する医師が確かめたいこと

求人票に書かれていること・書かれていないこと

美STARの医師求人のタイトルと説明文を、1件ずつ読みました。
未経験の方への指導や研修は、求人票だけでは分かりにくい項目です。

  • 「未経験」に触れた求人には、未経験の方へのマンツーマン指導を書いた求人や、経験によって年俸が変わる求人があります。
  • 経験によって年俸が変わる求人では、未経験は年俸2,200万円から、経験1年以上は2,800万円からです。
  • 入職後の研修期間まで書いた求人では、約3〜6か月の研修を予定しています。美容の経験が豊富な方は、期間が短くなる可能性もあるそうです。
  • 卒後の年数や症例、年齢の目安などは、求人票に書かれていないことの多い項目です。気になる方は、面接で確かめておきましょう。

年収の詳しいデータは「美容外科医の年収」で紹介しています。

面接で確かめておきたいこと

求人票に書かれていないことは、面接で聞いておきましょう。
次のことを確かめておくと、入職後の働き方がつかみやすくなります。

  1. 一人で施術・執刀するまでの期間:求人票に書かれていないことの多い項目です。
  2. 指導する医師の経歴:JSAS専門医を目指すなら、学会の研修施設かどうかも聞いておきましょう。研修施設は、JSAS専門医が1名以上常勤し、学会が認定した施設です。
  3. 担当する施術の範囲と件数
  4. 研修期間と、その間の給与
  5. 合併症やトラブルが起きたときの、院内の体制
  6. 専門医を目指すときの扱い:学会に参加するための休みや、症例報告への所属長の承認です。JSASでは、術者として12例の症例報告が必要です。

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面接対策や模擬面接もお手伝いしています。給与や勤務日数など、ご自身では言い出しにくい条件の交渉も、美STARが代わりに行います。

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研修の期間や指導体制のことも、
応募の前に気軽にご相談ください

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転科を決める前に考えておきたいこと

  • 合併症への備え:報告書は、合併症を防ぐ知識と技術、起きたときの対応体制が「極めて重要」としています。院内の対応体制が整ったクリニックを選びましょう。
  • 給与の仕組み:インセンティブを書いた医師求人は、3割近くあります。売上や集客に応じると明記した求人もあります。固定給を重視したい方は、計算方法を確かめておきましょう。
  • 保険診療に戻る可能性:美容外科の専門医は学会の認定で、日本専門医機構の基本領域にはありません。機構の専門医には、原則5年ごとの更新があります。将来、保険診療に戻る可能性があるなら、前の科の専門医をどう更新するか先に考えておきましょう。

報告書の記載は6ページです

よくある質問

Q. 美容外科と美容皮膚科、どちらを選ぶ?
A. この記事では、手術を扱う美容外科を中心に紹介しています。美容皮膚科の働き方は「美容皮膚科医の年収」で紹介しています。
Q. 形成外科専門医が無いと不利?
A. JSAPSの専門医には、形成外科専門医が必須です。JSASの専門医には必要ありません。形成外科専門医の方は、JSASの研修施設で美容外科の診療が通算2年以上あれば申請できます。ただし、申請時にJSASの正会員を5年以上続けていることも必要です。形成外科専門医が職場でどう生かせるかは、求人票に書かれていないことの多い項目です。気になる方は、面接で確かめておきましょう。
Q. 何歳まで転科できる?
A. 年齢の目安は、求人票に書かれていないことの多い項目です。気になる方は、面接で確かめておきましょう。JSAPSとJSASの専門医の申請要件には、年齢の条件はありません。JSASは、申請時に正会員を5年以上続けていることが必要です。専門医を目指すなら、入会の時期から逆算して計画を立てましょう。

美容外科医になるには、3つの道から自分に合う進み方を選ぶ

  • 入口は医師免許と2年以上の臨床研修で、その先に必須の資格はない
  • 専門医は、JSAPSは形成外科専門医が前提、JSASは研修施設で5年以上の診療が必要
  • 転科するなら、一人で施術するまでの期間や指導体制を面接で確かめる

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