美容医療の世界に興味を持つ方にとって、「これからの業界がどうなっていくのか」は大きな関心事。今回は、美容クリニックで長く現場を見てきた専門家に、近年とくに感じる“3つの変化”を教えてもらいました。どれも、美容看護師として働くうえで知っておきたいポイントです。
1. 競争の激化 ― “選ばれるクリニック”になる時代へ
10年前、美容クリニックの数は今ほど多くなく、いわば「選択肢が少ない」時代でした。
患者様も「ここしかないから」とクリニックを選ぶことが多く、サービスの質よりも立地や価格で決まるケースも少なくありませんでした。
ところが現在は、美容医療がぐっと身近になり、全国でクリニック数が急増。
患者様は口コミやSNSで簡単に比較できるようになり、「技術」「接遇」「信頼感」など、あらゆる面で“選ばれる理由”が求められるようになりました。
スタッフ一人ひとりの接し方や説明の丁寧さも、クリニックの評価を左右する大切な要素になっています。
2. 患者様の“玄人化” ― 専門知識が求められる時代に
SNSの普及により、美容医療の情報は一般の方にもオープンになりました。
今では来院時点で施術や機器の名前をしっかり把握している患者様も多く、カウンセリングで「比較検討した上で来ました」と話される方も珍しくありません。つまり、患者様の“玄人化”が進んでいるということ。
以前のように「説明してあげる」立場ではなく、「専門的にサポートする」姿勢が求められています。
スタッフ自身も常に知識を更新し、自分の言葉でわかりやすく伝えられる力が重要になっているのです。
3. 教育への意識の高まり ― 「学び」がクリニックの差を生む
こうした競争や患者様の変化を背景に、クリニック側も“教育”への意識を高めています。
研修制度やマニュアルの整備、技術チェック、症例検討会などを積極的に行うクリニックが増えました。同時に、業界全体の知見も深まり、学び合う文化が根づきつつあります。
とはいえ、教育体制を整えたくても人手や時間が足りず、思うように進められない現場もまだ多いのが実情です。
だからこそ、学ぶ姿勢を持つスタッフはどのクリニックでも重宝されます。未経験であっても、「成長したい」「知識を増やしたい」という意欲があれば、今の美容医療業界では必ずチャンスがあります。
まとめ
美容医療の現場は、かつてないスピードで変化しています。
その変化を知り、自分がどんな働き方をしたいのかを考えることが、理想の職場と出会う第一歩です。
教えてくれたのは…
美容クリニック マネジメント講師 原田丈志さん
美容医療業界13年。美容クリニックにて、マーケ部、カウンセラー、カウンセラーリーダー、教育・サービス責任者を経験。現在では、現場と運営本部の両方を経験している強みを生かして、幅広い視野でのマネジメント、スタッフ教育、運営サポート、仕組み構築などを複数のクリニックにて手掛けている。
