「職場の雰囲気が合わなかった」「上司の指導が厳しかった」「教育が整っていなかった」——
転職理由としてよく耳にする言葉ですが、もしかするとそれは“他責思考(たせきしこう)”になっているサインかもしれません。他責思考とは、うまくいかない原因を自分ではなく“誰か”や“環境”のせいにしてしまう考え方のこと。
実は本人に悪気がなくても、面接や職場で無意識にこの傾向が出ていると、「成長しづらい人」と見なされてしまうことがあります。
ここでは、自分では気づきにくい“他責思考チェックポイント”を3つ紹介します。
①「〇〇が悪いから」と言い切っていないか?
たとえば「前職は教育がなくて辞めました」と話してしまうと、聞き手には「環境のせいにしている」と映ってしまうことがあります。実際には本当にそうだったとしても、「自分がどう感じ、どう行動したか」を添えるだけで印象は変わります。
「教育制度は少なかったですが、自分で勉強するうちに美容医療に興味を持ちました」など、視点を“自分側”に戻すことが大切です。
他責の反対は“自責”ではなく“主体性”。小さな違いが信頼につながります。
②「してもらう前提」になっていないか?
「もっと教えてほしかった」「指導してもらえなかった」という言葉にも、受け身の姿勢が見え隠れします。
美容クリニックは少人数の現場が多く、すぐそばに先生や先輩がいないこともあります。そんな中で求められるのは、「どうすればできるか」を自分で考え、行動に移す力。
もちろんサポートは大切ですが、“自分の成長の主導権は自分にある”という意識を持つことが、結果的に信頼されるスタッフへの第一歩です。
③「悪い点」だけを思い出していないか?
振り返るとき、人はつい「嫌だったこと」「合わなかったこと」ばかりを思い出してしまいがちです。
けれども、前職で学べたこと、身についたスキル、人との関わりから得た経験が必ずあるはず。
それを自分の糧として語れる人は、ポジティブな印象を残します。過去を“反省”ではなく“学び”として整理することが、他責からの脱出につながります。
自分の成長がそのままクリニック全体の信頼につながる——そんな循環をつくれる看護師が、これからの時代に求められています。
まとめ
他責思考は、誰にでも無意識のうちに出てしまうもの。
でも、自分の言葉の中に「~のせいで」「~してもらえなかった」が増えていると感じたら、それは見直すチャンスです。
美容医療の現場はチームで動く場所。だからこそ、「自分ができることは何か」と前向きに考えられる人が、信頼され、成長し、選ばれていきます。
教えてくれたのは…
美容クリニック マネジメント講師 原田丈志さん
美容医療業界13年。美容クリニックにて、マーケ部、カウンセラー、カウンセラーリーダー、教育・サービス責任者を経験。現在では、現場と運営本部の両方を経験している強みを生かして、幅広い視野でのマネジメント、スタッフ教育、運営サポート、仕組み構築などを複数のクリニックにて手掛けている。





